ウクライナのドニエプルロケットの発射シーンが興味深かったのでじっくり見てみた。
ドニエプルロケットは、退役した大陸間弾道弾(ICBM)であるR-36を民間転用したもので、普通のロケットとはミサイルサイロから発射される点が異なる。そのため打ち上げ前のロケット外観や発射シーケンスは通常とは異なっている。
発射シーケンスは大まかに以下となる。
まずガスを発生することでサイロ内の圧力を上げ、ロケットを押し出し、ロケットが十分地表から離れたら各種パーツを切り離し後メインエンジンを点火して上昇する。
サイロからロケットを押し出すにはロケットの一番下(写真だと左)にある緑色の大きな部品に入っている黒色火薬を爆発させて生成したガスの圧力を使う。この際にガスがもれないよう、ロケット最下部にシーリングがされている。また、このガスによりメインエンジンがダメージを受けないよう、ガス圧はカバーが受けるようになっている。更に、サイロの中をスムーズに上昇できるようにガイドが各所に設けられている。
このような構造およびシーケンスとなっているため、最初は噴射炎なしでロケットが地中からせり上がってくる。
そしてシール部がサイロから出てきた瞬間にガスがサイロから噴出する。
次にケース部がロケットから切り離される。
この茶色い円筒形パーツが切り離しに関わっているとは思うのだが、どんなメカだろう?分離ボルトには見えない。ケース部を下に押し出す必要があるから小型固体ロケットかなあ?でも点火系が見当たらない。
ケース部はこのままだとサイロ内部に落ちちゃうので、固体ロケットによって横方向へ吹っ飛ぶ。直前のシーケンスでケース部を少し下に押し下げたのは、そうしないと吹っ飛び時にメインエンジンに当たっちゃうからだと思う。
この辺の、上段とメインエンジンを結ぶ際になぜかケース部を跨いでる配線とかは、ケース部がちゃんと吹っ飛んだ場合に限り切れるように考慮されてるんだなー(たぶん)。もしかすると、これの断線がメインエンジン点火のトリガーになっているのかもしれない。こういうのを見るとなぜか顔がほころぶ。大好き。
もっとも、ケース部を切り離すパーツともつながっているガイドに入り込んでいるので、切り離し部の点火系なだけかもしれない。
ケース部が横に吹っ飛んだら、いよいよメインエンジン点火。
打ち上げの最初のシーケンスは、普通はこのへんで終わって数十秒は何もないのだがコイツはあと1ステップだけ続く。ガイドの切り離しだ。
落ちたガイドやケース部の画像はZAPZAP!さん記事で見れます。
ガイド部の分離には、やはり茶色の円筒形パーツが関わっているみたい。これも能動的に外れる必要があることから、こいつは小型固体ロケットなのかなあ?点火線っぽいものも見えるし。
なお、ロケット下部は発射用ガスのせいで黒くなってました。黒色火薬ハンパない!
途中から黒くないのは、ガイドのお陰でガスの直撃を免れたからかも。
ところで、噴射炎の色が最初は左右非対称だったのはなぜだろう?その後対称にはなったけど。上手く燃焼していなかったのかな?
なおこの後にも元ICBMなロケット固有の動作が続く。詳細はWikipediaを参照。
ところで、打ち上げシーケンスの最初期にロケットからポロッと落ちるパーツがあるんだけど、何なんだろう?これだけ分からなかった。