カスタム社のCO2-miniを分解してみた。
■CO2-mini外観
ケースはネジを使わずに組み立てられており、裏側のツメを外すだけで開く。
■CO2-mini内部
裏蓋を外すと、基板がお目見えする。
■CO2-miniマニュアルに記載されていない情報
センサに、ZGm053ukというシールが貼ってある。試しにこれで検索したところ、CO2-miniと同じ外観をしたZGm053uという製品の説明書が出てきた。こちらにはセンサの詳細仕様が記載されていた。
その中から数点、CO2-miniの説明書に無い部分を抽出する。
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EMC/RFI耐性
3V/m以上の電界下では読み値が狂うことがあるようだ。
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USBポートの機能
USBポートに通信機能があることが明記されていた。
ちなみにCO2-miniの通信方式はCO2-mini側のバージョンにより異なるため、これに合わせたソフトを使わないとPCにデータを取り込めない。多くのCO2-miniは下記のソフトでデータ取り込みができるようだ。
CO2Mini Indoor Air Quality Monitorwww.co2meter.com
一方、自分が購入したものは上記ではデータ取り込みができなかった。そこで以下を自作した。上記で通信できなかった場合はお試しあれ。
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二酸化炭素センサの種類
センサはデュアルビームNDIR方式と書かれている。デュアルビームはシングルビームに比べセンサ寿命が長く、5~10年以上という資料もある。NDIRはNon Dispersive InfraRed(非分散型赤外線吸収法)の略。赤外光源から放射された赤外光がガス分子により吸収される現象を利用して二酸化炭素濃度を計測する手法らしい。二酸化炭素センサには、センサがより安い有機ガスセンサを使ったものもあるらしいが、NDIRのほうがガスに対する選択性がよく高精度な模様。ちゃんとしたセンサを使ってたのね、CO2-mini。
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応答速度の定義
二酸化炭素濃度変化に対する応答速度について、CO2-miniのものでは測定条件が書かれていなかったが本資料にはステップ変化に対し63%の応答をするのにかかる時間、と定義されている。
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消費電流
消費電流はピークで約200mA, 平均で約20mAという情報があった。但し書きとして、センサの値が不安定な場合は適切な電源アダプタを使うことが推奨されている。
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寸法
カスタム社CO2-miniマニュアルに記載されている寸法には誤りがあった。同書によると幅は169mmだが、正しくは116mm(実測により確認済)。
■基板
基板はケースに3本のネジで固定されていた。
全体的に親切なシルクである。抵抗に至るまで用途が書いてあるなんて珍しい。以下、部品や回路の分析結果を示す。
■基板 表
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CO2センサ
製造者・型番不明。基板には「SH-M1QD 94V-0」とシルク印刷されている。
デュアルビームNDIR。左側が発光部、右側が受光部。下側の突起はキャリブレーション用のガス導入部。通常の計測用空気は、多分側面の白い部分から出入りする。
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温度計
製造者・型番不明
多分サーミスタ。それっぽい名前なので。多分だけど、外付けサーミスタにも対応可能にしてある。
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メインマイコン
RAD AP05B-QL111
詳細不明。RADが社名なのかブランド名なのかも不明。でもメインマイコンだと思う。多分フラッシュメモリを内蔵し、液晶の制御やCO2センサの光源制御、受光部読み取り、温度計測などをやっている。USBでの通信だけは管轄外か。
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EEPROM
CSI 93C66VI
CSI製 4k bit EEPROM。キャリブレーションデータの保存用と思われる。
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キャリブレーション用コネクタ?
CaliPortって書いてあるので、きっとキャリブレーション用のデータを書き込む、または校正用のアナログ信号をぶちこむコネクタ。
■基板 裏
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液晶との接続端子
液晶と基板を接続する部材の「これでいいんだ」感。毎度思うが、これを思いついた人は凄い。
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USB通信用マイコン
Holtek HT82B40R
8bit RISCマイコン。USBインターフェースつき。USB通信用にしか使っていないっぽい。
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水晶発振器
CETDLJ 1.0000
メインマイコン用の1MHz 水晶発振器。なぜかメインマイコンから10~20mm離れたところに置いてある。理由は謎。
■感想
マイコンが2個も使ってあって贅沢。もっとも、8bitマイコンの方は原価数十円程度だと思うけど。また、基板もはんだ付け部含めて金メッキされてて贅沢。二酸化炭素センサも意外とまともなものが載っていて驚いた。
全体的に、もーすこし原価低減ができそうな気もする。でも、生産台数を考えると原価低減に必要な人件費のほうが高くなりそうでもある。このへんが妥当かもしれない。
それにしても、CO2-miniの真の開発元はどこなんだろう。少なくとも米国、ロシア、日本の会社が発売しているようだが。
画像元:
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CO2Mini Indoor Air Quality Monitorwww.co2meter.com
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